コラム
2014.06.21

群衆心理

『フランスの社会心理学者ル・ボンは「群衆心理」という著書で、次のように述べている。
「群衆の最も大きな特色は次の点にある。それを構成する個々の人間の種類を問わず、また、彼らの生活様式や職業や性格や知能の異同を問わず、その個人個人が集まって群衆になったというだけで集団精神を持つようになり、そのおかげで、個人でいるのとはまったく別の感じ方や考え方や行動をする」

そして群衆の特色を、彼は鋭く定義しているー衝動的で、動揺しやすく、昂奮しやすく、暗示を受けやすく、物事を軽々しく信じる、と。そして群衆の感性は誇張的で、単純であり、偏狭さと横暴さと保守的傾向を持っている、と。

昭和15年から昭和16年12月の開戦(太平洋戦争)への道程における日本人の、新しい戦争を期待する国民感情の流れとは、ル・ボンのいうそのままの姿と言っていいような気がする。

それもときの政府や軍部が冷静な計算で操作していったというようなものではない。日本にはヒトラーのような独裁者もいなかったし、強力で狡猾なファシストもいなかった。民衆と不可分の形でリーダーも群衆のひとりであり、民衆のうちにある感情を受容し反映する場合にのみ、リーダーは民衆を左右できたのである。』

以上は、半藤一利氏著「歴史探偵昭和史をゆく」(PHP文庫)からの抜粋です。

 

あれから約70年の年月を国民は過ごしてきました。戦後は、少なくとも日本は平和な状態を維持してきました。
しかし、その平和は国民自身が不断の努力をもって維持してきたものでしょうか?大東亜戦争の敗戦について、その原因分析や議論を充分に行って、国民自身が成長したから平和が維持されているのでしょうか?

もっと言えば、現在の日本国民が、大東亜戦争勃発の頃と同じような状況に置かれることになったときに、あの頃と違って冷静で合理的な世論を形成し、政府を平和裡に突き動かすことができるのでしょうか?私見ではありますが、甚だ疑問に思う今日この頃です。

やはり悲惨な時代、負け戦の時代には目を向けたくないという日本人は少なくないのではないでしょうか?

そして、日本の「侵略戦争」がいけなかった。ここは「反省」「謝罪」しなければならない、ということで片づけてしまい、結局その頃に何が起こっていたのかについて、詳しく知ることを避けている日本人は少なくないのではないでしょうか?

いや、また脈絡もないよもやま話を書いてしまいました。いや半藤一利氏の著書のことじゃありませんよ。私の記述部分のことですよ。半藤氏の著書はどれもすばらしいです。

2014.06.15

望ましい弁護士の選び方

最近、何人もの弁護士に法律相談したが、どの弁護士も違うことを言うので、どの弁護士が言っていることが正しいのか分からなくなったと言って、私にも同じ相談をしてこられる相談者の方が増えてきました。どの弁護士の言っていることが正しいのかと言えば、結論から言うとどの弁護士の言っていることも間違いではない。つまり、やはりどれも正解なのだと思われます。

ただ、到達する結論は、たぶんひとつしかないはずですが、そこへ至る方法論が、各弁護士によって異なるのだと思います。

例えば、難しい法律問題をはらんでいる事案や事実認定や評価がどちらに転んでもおかしくない事案や自分の依頼者の主張の立証が出来るのかどうか微妙な場合に、それを楽天的に考える弁護士もおれば、厳しめに考える弁護士もいます。そういう場合に、一旦内容証明郵便送付によって、相手方の反応を見ようとする弁護士もおれば、いきなり訴訟に打って出れば手っ取り早いと考える弁護士もいるでしょう。あるいは、調停で話し合いをすればよいのではないかと考える弁護士もいるでしょう。これらの方法はいずれも間違ってはおりません。

結局、どういうタイプの弁護士に自分の事件を依頼するかは、弁護士の出してくるアドバイスが、自分の感覚にどれだけ合致しているのかによるのだと思います。

仮に弁護士が、訴訟をやるのが妥当だとアドバイスをして、それが、あなたの感覚にしっくりと来るのであれば、あなたは、その弁護士に自分の事件を依頼をすべきなのだと思います。弁護士費用が安いからと言って、あるいは敏腕弁護士との噂があるからと言って、自分の感覚にしっくり来ない法的手段をとろうとする弁護士に依頼するのは、結局、あなたが最終的に納得のいかない結果になる危険性が高くなると思います。

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