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2013.07.12

調停と訴訟の違いについて

市役所の法律相談などに行くと、よく相談者に調停と訴訟との違いを説明することがあります。そこで、今回は、調停と訴訟との違いを、法律の手続規定はさておいて、大まかな手続の流れに沿って説明してみましょう。

 

調停手続

まず、調停とは、当事者が話し合いを行う手続であり、特に裁判官が判決のような判断を下したりすることはありません。したがって、調停を申し立てても、相手方が裁判所に出頭しなかったり、出頭しても話し合いがつかなければ、調停は不成立(不調)となります。そうなった場合、調停手続はそれで終了してしまいますから、次は訴訟を起こすなりしなければ事態は進展しないことになります。

調停といっても、離婚や遺産分割等の家事に関することは家庭裁判所に申し立て、貸金や損害賠償等の請求の場合は、簡易裁判所に申し立てなければなりません。申し立てる内容によって管轄する裁判所が違いますので注意を要します。しかし、調停の申立は、申立書の用紙が裁判所に備えおかれており、それに必要事項を書き込むことにより申し立て可能ですから、一般の方でも、特に弁護士に依頼しなくても申し立てることが出来ます。一般の方が自分で申立を行うなら、費用も印紙代や郵券代等で済みますから安くつきます。必要書類なども、裁判所の受付に行けば、たぶん親切に教えてもらうことが出来るでしょう。

例えば、離婚調停を家庭裁判所に申し立てた場合を例にとりましょう。申立を行うと、裁判所が第1回の調停期日を決めて、これを相手方(この場合は他方の配偶者)に通知してくれます。相手方が調停期日に裁判所に出頭すれば話し合いが始まります。この話し合いは、当事者同士が直接行うのではなく、調停委員を仲介役として行います。つまり、当事者双方が、交互に調停室に入り、調停委員にそれぞれ自分の言い分を伝え、調停委員がこれを他方に伝えるという方法による話し合いです。申立人の控え室と相手方の控え室は別々になっていますから、原則として、話し合いを行っていても申立人と相手方が直接顔を合わすということはありません。調停委員は、たいてい年配の男性と女性の2名がその任にあたっています。裁判官が出てくるのは調停が成立するときくらいのものです。調停委員は、時には自分の意見を述べたりして、話し合いが円滑に成立するように努力してくれるわけですが、必ずしも法的知識に基づいて意見を述べているというわけでもない場合が多いので、調停委員の意見は、人生経験豊富な方の貴重な意見としてとらえた方がよいでしょう(もちろん特に専門知識を要するような調停では、その分野に詳しい方が調停委員になっている場合もありますので要注意。)。

このように話し合いが進み、離婚調停であれば、離婚することや、子どもがいればその親権をどちらがとるか、養育費はどうするか、財産分与はどうするか、慰謝料はどうか、子どもとの面会交渉はどうするかなどにつき話し合いがまとまれば、調停成立の運びとなります。調停が成立すれば、合意の内容をまとめた調停調書が作成され、調停調書は判決と同じ効力を持ちます。したがって調停で決めた養育費や慰謝料などを支払ってもらえない場合には、調停調書に基づいて相手方の財産に対し、強制執行をかけることも可能になります。ところが一方、こどもの親権をどちらがとるか等で話し合いがどうしてもつかない場合、調停は成立せず、調停不成立となります。この場合は、前述のように調停手続はそれで終了しますので、申立人としては、その後は離婚訴訟の提起をするなりを検討しなければ、事態は進展することはないでしょう。以上が調停手続の大まかな流れです。

 

訴訟手続

では、次に訴訟とはどういうものでしょう。少額訴訟というものもありますが、ここでは通常の訴訟手続を念頭に、その大まかな流れを追ってみましょう。

訴訟を提起するには、訴状を作成して管轄裁判所に提出して提起します。訴状には、請求する権利ごとに定まった要件事実(権利が発生するのに必要な事実)等必要事項を記載しなければなりません。例えば、貸金返還請求事件であれば、金を貸し渡したことと支払期限の到来が要件事実です。そして、定められた印紙額や郵券も添えて提出します。

訴状が受け付けられると、裁判所は、第1回の口頭弁論期日を定め、訴状等を相手方すなわち被告に送達します。定められた期日に被告が何の答弁もせず出廷しなければ、原告の言い分を認めたものとして、原告勝訴の判決が下されます。つまりは、訴訟の場合、被告には応訴義務があり、応訴しない場合は敗訴判決という不利益を被るのです。被告が口頭弁論期日において答弁書を提出したり、出廷して応訴した場合、審理が始まります。

口頭弁論期日において、原告が訴状を、被告が答弁書を陳述し、その後の期日においても、双方が準備書面に各自の主張を書いて提出し、基本的に書面によって双方の主張の食い違い、すなわち争点を整理していきます。訴状や答弁書、準備書面の他に、書証(証拠書類)があれば、原被告各自がこれらを提出します(原告が提出する書証は甲号証、被告が提出する書証は原則的に乙号証として提出します)。そしてある程度争点が明確になってくると、裁判所は争点整理を行います。

例えば、貸金返還請求訴訟において、原告が被告に対して500万円を貸したので返せと主張するのに対して、被告が、借りたのは200万円で、300万円は工事代金として受領したものだ、しかも借りた200万円についても、自分のトラックを渡して終わりにしてもらった(代物弁済した)と主張した場合、争点は、大まかには、①原告が貸したのはいくらか、②被告が行ったという工事契約の詳細、③被告がトラックを代物弁済したか、の大きく3点になります。

争点が明らかになれば、原被告は、各自自らの主張を立証するために、人証申請をし、尋問が行われます。ここで、証人や原被告本人に対する尋問が行われ、裁判所は、原被告どちらの言い分が正しいのか、心証を形成します。尋問が行われる前後には、当事者双方において和解の途がないのか模索したりもします。

尋問が終わり、和解の途もないということになれば、裁判所は、口頭弁論を終結し、判決言い渡し日を決めて判決を下します。判決というものは、基本的に、原告の請求を認容する(もちろん一部認容というのもあります)か、あるいは棄却するかの2種類しかありませんので、まさしく白か黒かという判断が下されるわけです。

但し、注意しなければならないのは、裁判官も人間であり、事実を認定し、それを法的に評価し、判決を作成するにあたって、主観的判断を完全に排除することは不可能であるということです。したがって、同じ事件でも裁判官が代われば、違う判決になる場合も往々にしてあるということです。よく、地方裁判所の判決を、高等裁判所が覆すということがあるのも、裁判官によって事件の見方が違うことのあらわれといえるでしょう。このように、判決というものは、勝敗の判断が微妙な事件になればなるほど、それを下してもらうことが一種の賭けのようなものになるのです。ですから、勝敗が微妙な事件においては、オール・オア・ナッシングの判決に賭けるより、何とか当事者双方が納得できる内容の和解を成立させることのほうが無難な場合もあるのです。和解か判決かの判断は、裁判官が原被告どちらを勝たせるつもりか自分の心証を語らず、ポーカーフェイスに徹している場合などには、事案によっては本当に難しいことがあります。

それはさておき不幸にも、敗訴判決を下された被告または原告は、判決に不服であれば、判決書を受領してから2週間以内に上訴(控訴・上告)することが出来ます。原告の勝訴判決が確定すれば(確定しなくても判決に仮執行宣言というものが付されていれば)、その判決に基づいて被告の財産に対し、強制執行が可能になります。

 

まとめ

少々長くなりましたが、以上が、調停手続と訴訟手続の違いです。調停手続は、一般の方でも簡易に申し立てることができる手続ですが、あくまでも話し合いですので、相手方が出頭しなかったり、話し合いがつかなければ調停不成立です。但し、話し合いがまとまり、調停が成立すれば調停調書は、判決と同一の効力を有します。

訴訟手続は、被告に応訴義務があり、被告が、答弁書も提出せずに出廷しなければ敗訴の不利益を被ります。また訴訟においては、当事者の話し合いがつかなければ判決が下され、原被告のいずれかの勝訴・敗訴が明白にされます。訴訟手続は、一般の方の手に負えないものが多いと思われますので、やはり早めに弁護士に依頼された方がよいと思われます。

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