トピックス
2017.06.17

訴訟は本当に一人でできるのか?

最近、書店やネット上で、「訴訟は、本人で出来る。」といった類の本や記事を目にします。確かに、訴訟の中には、当事者本人で出来る、というか簡単にうまくいったケースもあるでしょう。しかし、ほとんどの訴訟は、そんなに簡単ではなく、当事者本人では手に負えないと考えた方がよいと思います。そのようなときのために弁護士が存在するわけですが、弁護士ですらいつも悩みながら訴訟を遂行しているのですから・・・。

たとえば、訴訟としてもっともわかりやすいと思われる、貸金返還請求訴訟。要件事実(権利の効力が発生するのに必要な事実)は、①お金を貸し渡したこと、②弁済期限が到来したこと、だけですから、訴状にそれさえ書いてあればよいわけで、証拠としては、弁済期限の記載してある借用証書くらいを提出すればよいのではないでしょうか。すでに弁済したことや、期限が未到来であることなどは被告が主張立証すべき抗弁事由に該当します。被告が抗弁を主張しない場合や、主張してもそれを立証出来ない場合、原告は勝訴判決を手にすることになります。

そうするとやはり訴訟は、原告本人だけで出来るように思えてきますが、そうではありません。上記の訴訟の目的は、あくまでも貸したお金を返してもらうことですから、勝訴判決をもらっても、それだけでは「絵に描いたもち」にすぎません。すなわち、貸金返還請求訴訟のような財物の給付を求める訴訟を行う場合には、常に「いかにして財物をこの手におさめるか」を考えながら、訴訟を進めなければ意味がないということです。

貸金返還請求訴訟の例でいえば、被告の勤務先は分かっているか(分かっていれば給料の差押えが可能です。)、すぐに転職したりしないか(転職されてしまえば給料の差押えも打ち切りです。)、被告の取引銀行・支店は分かっているか(分かっていれば預金を差押えできます。預金残高があればの話ですが・・・。)、不動産は持っているか、持っていても住宅ローン等で担保割れでないか(担保割れの不動産を差し押さえても無意味です。)、その他店舗保証金はないか等要するに差し押さえるべき財産が分かってるか、を注意深く考え又は調査しながら訴訟を進めなければなりません。上記のような差押対象物に関する被告の情報が全くつかめていないか、ろくな対象物が見あたらないのであれば、判決を取りにいくことは、非常に危険な行為です。判決をもらっても差押対象物が分からないのであれば、判決は前述のように「絵に描いたもち」にすぎず、せいぜい被告の自宅の二束三文の家財道具でも差押えしながら、被告の自発的弁済に期待するしか方法がなくなるからです。

このような進退きわまる場合は、勝訴判決をもらうより、被告に対して、何度かの分割弁済を促すとか、8割支払ってくれれば残りは免除する等ある程度被告に便宜を図った提案をして、被告に支払う気を起こさせて和解に持ち込むのがむしろ安全策の場合があります。その方が判決をもらうより回収の実があがることがあるからです。たとえば、被告が約束手形を振り出す商売人であったなら、勝訴判決なんかより、分割弁済でも、元本を負けてやってでもいいから、約束手形を何枚かもらう和解をした方が回収の実があがる可能性が高い場合もあるでしょう。以上のような状況判断は、普通の人には難しいと思います。

このように、訴訟は(特に財物の給付を求める訴訟の場合は)、勝訴するだけでは権利を実現できないものが多くありますので、注意を要します。結論として、訴訟は本人では手に負えない場合の方がはるかに多い、ということができるでしょう。やはり、勝訴が間違いない訴訟でも、勝訴判決をもらっただけでは権利が実現できない、という場合は、最初から弁護士に訴訟代理を依頼された方がよいと思われます。

2017.06.12

交通事故について

事 例

X氏は、電機メーカー勤務のサラリーマン37歳です(年収600万円)。X氏は、平成27年12月20日に、休日をとっての散歩中信号がない横断歩道上で乗用車にはねられて、右足を複雑骨折する重傷を負い、手術の結果右足が左足に比べて4センチ程度短くなってしまいました。この事故で、X氏は、2ヶ月間の入院と3ヶ月間の通院を余儀なくされ、入院中は休職を余儀なくされその間給料は出ませんでした。

加害車両を運転していたのは、35歳の自営業者Y氏で、初めての取引先に行く途中地図を見ながら運転していたため、X氏にまったく気づかずはねてしまったのです。幸いY氏は、自動車の任意保険(対人無制限)に加入していたので、X氏の損害は、保険会社から支払われるようです。

病院の診断書によれば、症状固定日は、平成28年5月30日で、その後A氏は自動車保険料率算定会から、10級の後遺障害認定を受けました。果たしてX氏は、いかほどの損害賠償請求をなしうるのでしょうか、その請求金額の目安(あくまでも目安です)を考えてみましょう。なお、X氏に過失はないものとします。X氏にも過失があれば、過失の程度に応じて、過失相殺(賠償金額の減額)が認められることになります。

まず、X氏の損害として考えられるのは、Ⅰ積極損害として、①治療関係費②入院雑費③通院交通費④装具購入費⑤弁護士費用⑥遅延損害金といったところでしょう。

Ⅱ消極損害(逸失利益)として、①後遺障害による逸失利益②休業損害、Ⅲ慰謝料として、①入通院慰謝料②後遺障害慰謝料、Ⅳ物損といったところでしょうか。なお、具体的事情によりその他の請求項目が立つ場合もあります。

以下、順を追って請求金額の目安を見ていきましょう。
Ⅰ 積極損害
① 治療費
これについては、加害者に全額請求できるでしょう。通常は、保険会社から病院へ直接支いがなされることが多いでしょう。なお、健康保険を利用するよう加害者や保険会社から要求されることがありますが、健康保険を利用するがどうかは被害者の自由です。ただ、健康保険を利用しても被害者に特に不利になることはないと思われるので、治療内容に大差がないのであれば、健康保険を利用しても良いでしょう。

② 入院雑費
入院に伴う雑費(日用品雑貨費・通信費・栄養補給費・文化費等)については、入院1日につき1,300円から1,500円程度は認められるべきでしょう((財)日弁連交通事故相談センター基準)。

③ 通院交通費
これについては、電車代、バス代等の実費が認められるでしょう。但し、必要以上にタクシーを利用したりすると、請求が認められない可能性がありますので注意を要します。

④ 装具購入費
たとえば、松葉杖を購入したとか、ギブスを購入した、特殊な厚底靴を購入したのであれば、その費用全額の請求が認められるべきです。

⑤ 弁護士費用
被害者の弁護士費用については、訴訟そして判決になった場合、請求認容額の10%程度は認められているようです。しかし、裁判となる前に示談で解決する場合は、被害者の弁護士費用は、被害者負担で承諾するケースが多いようです。

⑥ 遅延損害金
遅延損害金は、事故当日から起算します(年5%の割合)。ただし、これについても、示談で解決する場合は、請求を放棄又は減額するケースが多いのではないでしょうか。

Ⅱ 消極損害(逸失利益)
① 後遺障害による逸失利益
X氏は、10級の後遺障害認定を受けましたので、後遺障害による逸失利益を請求できます。これは、身体に後遺障害が残ることにより、労働能力が減少し、これが就労可能年数の間継続することによる損害のことです。

上記逸失利益は、年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数=逸失利益という計算式で求められます。X氏の年収は600万円、労働能力喪失率は10級の後遺障害で27%、労働能力喪失期間(67歳ー37歳=30年間)に対応するライプニッツ係数は15・372ですから、X氏の逸失利益は、600万円×0・27×15・372=2,490万2,640円というあたりが目安になります。

② 休業損害
これについては、事故前の現実の給与額を基礎として、受傷による欠勤のために現実に喪失した給与額を請求できます。X氏は入院中2ヶ月間の休職を余儀なくされていますから、2ヶ月分の月給分100万円(600万円÷12ヶ月×2ヶ月)が請求の目安となります。また通院により、早退・遅刻・欠勤をし、現実に給与額がカットされているようなら、そのカット分も休業損害に含めて考えても良いでしょう。

Ⅲ 慰謝料
① 入通院慰謝料
X氏は2ヶ月間の入院と3ヶ月間の通院を余儀なくされていますから、入通院慰謝料としては、154万円あたりが目安になるでしょう((財)日弁連交通事故相談センター基準)。

② 後遺障害慰謝料
10級の後遺障害を負ったことに対する慰謝料額としては、480万円から570万円程度が目安となるでしょう((財)日弁連交通事故相談センター基準)。

Ⅳ 物損
物損については、たとえば破れた服代、壊れた時計代、メガネ代等が考えられます。これらについても請求しうるでしょう。

以上が、X氏の損害賠償請求にあたっての金額の目安となります。X氏は、平成29年1月時点でも任意保険の保険会社と示談交渉をしているようです。

保険会社の保険金額の提示額は、一般的に言って、前述の目安金額よりも低額なようです。示談で紛争を終わらせるとしても、保険会社の提示する保険金額が、前述の目安金額よりはるかに低額であるような場合は、X氏は早期に弁護士に示談交渉を依頼するのが妥当でしょう。弁護士に示談交渉を依頼することによって、保険会社の保険金の提示額は、前述の目安金額に、程度の差はあっても近づく可能性が高まります。最近は、任意保険契約の特約で弁護士費用特約を付けておられる方も多くなっているので、安心して弁護士に依頼出来ることが多いようです。

ただ、保険会社もX氏も少ししか金額を譲らず、示談で話し合いがつかなければ、X氏は訴訟を提起せざるを得ません。最終的にX氏の請求金額がどの程度認められるかは、裁判所の判決を待つことになりますが、X氏の請求金額が全額認められるとは限りません。そこで多少不満があっても示談で紛争を終わりにするか、やはり納得できずに訴訟に持ち込むか、判断の難しい場面も出てきたりします。が、納得していないのに示談することはよろしくないと思います。

* 以上は、X氏の損害賠償請求金額の目安です。あなたの交通事故に関する損害賠償請求金額の目安ではありませんので、あなたの請求金額の目安については、必ず弁護士に相談してアドバイスを受けて下さい。なお、保険会社への保険金の請求については、基本的に2年の消滅時効にかかるので注意を要します。

2017.06.12

個人債務者再生(個人再生)手続について

個人債務者再生(個人再生)手続とは

個人債務者再生手続とは、住宅ローンその他の債務を抱えて経済的に困窮状態にある債務者について、将来の収入等を弁済原資として、裁判所の認可を受けた再生計画に基づき債務の一部を弁済することにより、残債務を免除してもらい、経済生活の再生を図るための手続です。

従来の制度状態では、破産手続を選択せざるを得なかった債務者も、この手続を利用することによって破産を避けつつ、債務弁済の負担を軽減し、経済生活を再スタートできるという意味で、画期的な制度ということができます。個人債務者再生手続は、裁判所に申し立ててこれを行います。

個人債務者再生手続には、①小規模個人再生手続と②給与所得者等再生手続があり②は、収入金額の変動の少ない安定収入のあるサラリーマン等が利用できます。自営業者は、①の手続を利用することになります。①と②の手続の大きな違いは、再生計画の認可にあたって、債権者の決議が必要かどうかという点です。②の手続においては、債権者の決議を行わないので、債権者の意向にかかわらず、再生計画が認可されることが可能となるのです。以下、もっと詳しく述べてみましょう。

 

小規模個人再生手続について

小規模個人再生手続は、①債務者が将来継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり(アルバイト、パートでも可)、かつ②再生債権の総額が(住宅資金貸付債権額等を除く)が5000万円を超えない場合に申し立てることが出来ます。

債務者は、いくらの金額を、どのように分割して支払うかという再生計画案を裁判所に提出しなければなりません。再生計画案は、最低弁済基準額、すなわち再生債権の総額の5分の1または100万円のいずれか多い額以上の額を返済するものでなければなりません。

再生債権の総額の5分の1が300万円を超えるときは、弁済額は300万円でかまいません(但し、再生債権総額が3000万円を超え5000万円以下の場合は、その10分の1以上の額を弁済しなければなりませんので、弁済総額は300万円を超えることになります。)。

また、破産した場合より債権者に不利益になってはいけないので、たとえば120万円の価値がある財産を持っていれば、最低弁済額は120万円となります。

以上の基準により、たとえば最低弁済額が100万円であれば、これを原則3年間(例外的に5年間まで延長される。)で弁済する再生計画を立てなければなりません。月々の弁済額にすれば、約2万7800円が弁済できる余裕がなければならないということです。

なお、大阪地裁では、平成16年1月から、再生計画で定める弁済がきちんと出来るかどうか見極めるため、個人債務者再生の手続中、提出予定の再生計画案に定める予定の弁済月額を、申立人に実際に毎月積み立ててもらい、再生計画案提出の際、積み立てが出来ていることを示す預金通帳の写しを添付させるという運用を始めました。

このようにして、再生計画案を立案提出し、これを債権者にも提示して、債権者の決議を求めます。この決議において、不同意の回答をした債権者の数が総債権者数の半数に満たず、かつ反対をした債権者の債権額合計が、債権総額の2分の1を超えなければ、再生計画は裁判所により認可される運びとなります。

たとえば400万円の負債額の債務者が、100万円を3年間で弁済するので残額は免除してもらいたいという再生計画を提出し、これが認可されれば、残りの300万円の負債は免除されることとなります。

ただし、100万円については、再生計画通り支払っていく必要があります。

 

給与所得者等再生手続について

給与所得者等再生手続は、①上記の小規模個人再生の要件を満たす債務者で、②給与等定期的収入を得る見込みがあり、かつ③その額の変動の幅が小さいと見込まれる者が申し立てることが出来る手続です。

債務者が提出する再生計画における最低弁済額は、上記の小規模個人再生手続における要件以外に、2年分の可処分所得を上回る金額でなければならない、という要件が加重されます。

可処分所得は、債務者の収入額から政令で決められた費用等を控除して計算します(したがって、債務者の実際の可処分所得とは必ずしも一致しません。)が、たとえば1年分の可処分所得が70万円であれば、上記小規模個人再生手続によれば、最低弁済額が100万円であっても、給与所得者等再生手続を利用する限り、最低弁済額は可処分所得の2年分すなわち140万円となります。

これを原則3年間(例外的に5年まで延長される。)で弁済することについては小規模個人再生手続と同様です。

なお、大阪地裁において、再生計画で定める弁済がきちんと出来るかどうか見極めるため、個人債務者再生の手続中、提出予定の再生計画案に定める予定の弁済月額を、申立人に実際に毎月積み立ててもらい、再生計画案提出の際、積み立てが出来ていることを示す預金通帳の写しを添付させるという運用を始めたことは、小規模個人再生手続と同様です。

給与所得者等再生手続においては、債権者に対する弁済額が多くなってしまう可能性があるかわり、再生計画案については、債権者の決議を経る必要がありません。すなわち債権者が仮に再生計画に反対しても、裁判所が認める以上、再生計画は認可される運びとなります。

たとえば負債400万円のサラリーマンが、140万円を3年間で弁済するので残りの負債は免除してもらいたいという再生計画を提出し、これが裁判所で認可されれば、債権者の意向にかかわらず、残債務は免除されます。

ただし、140万円については、再生計画通り支払っていく必要があります。

住宅資金貸付債権に関する特則について

住宅資金貸付債権に関する特則とは、住宅ローンの抵当権が住宅等に設定されていて、債務者がローンの返済を遅滞し、期限の利益を喪失している(すなわち住宅ローン債務の一括返済を迫られている)ような場合、再生計画に基づいた弁済をすることで債務者が喪失した期限の利益を回復し、また例外的に所定の弁済期の繰り延べが認められる特則です。

すなわち、再生計画認可確定時までに弁済期が到来する住宅資金貸付債権の元本等を、債務者が再生計画で定める弁済期間内に弁済すれば、喪失した期限の利益を回復し、かつ、認可確定後に弁済期が到来する債権は原則として貸付契約に定められた弁済期に弁済することが出来る特則です。

すなわち、住宅ローンの延滞が起こっているような場合に、再生計画認可確定までに滞納した分を原則3年間(例外的に5年まで延長される。)で解消し、認可確定後に弁済期がやってくる住宅ローンについては、ローン契約通り支払って行きますということです。

なお、この特則においては、住宅ローンの利息や元本のカットはありませんから、住宅ローンについては全額支払いますということが原則になります。

もっとも、この特則は、債務者に住宅ローンの延滞がなければ、より問題なく利用しやすい特則となります。すなわち、住宅ローンについては、今までも、そして将来も、従来の契約どおりに支払いを継続するという内容の特別条項を付け、住宅ローン以外の一般の債務については、一定額の債務の免除をしてもらうという方法をとることももちろん可能です。

以上のような特則を利用する再生計画のことを住宅資金特別条項付再生計画と呼びますが、これは、小規模個人再生手続や給与所得者等再生手続に付加して申し立てるものです。

 

雑感

個人債務者再生手続は、手続の内容が複雑で、再生計画案の立案なども一般の方には困難である場合が多いと思われますので、この手続の申立は、弁護士に依頼されることをお勧めします。

また、個人債務者再生手続においては、負債がふくらんだ原因については、それが浪費であってもギャンブルであっても、再生計画の履行が可能である限り、原則として問題とはされません。破産申立を考えていた債務者が、免責不許可となる可能性が高いので、個人債務者再生手続申立に方針変更をするということもあります。

いずれにせよ、個人債務者再生手続は、破産とは異なり、負債を全部踏み倒すのではなく、そのうちの一部でも返済しようという手続ですから、破産申立を考えている方は、その前に、個人債務者再生手続が利用できないかどうかを検討してみる必要があります。

 

弁護士費用

個人債務者再生手続を当事務所に依頼される場合の弁護士費用についてですが、原則として着手金として21万円(消費税込・費用別)(債権者が15件までの場合)となっています。

但し、事案が複雑な案件、債権者が15件を超える場合や、住宅ローンを除く負債総額が1000万円以上ある場合には、あなたと協議の上、1万円から4万円程度着手金を加算させて頂きます。住宅ローン特別条項付き個人債務者再生手続の着手金は、原則として21万円(消費税込・費用別)(債権者が15件までの場合)となっています。

但し、事案が複雑な案件、債権者が15件を超える場合や、住宅ローンを除く負債総額が1000万円以上ある場合には、あなたと協議の上、1万円から4万円程度着手金を加算させて頂きます。

なお、分割払いについてですが、一括払いが原則ですが、それが困難な方の場合、最初に着手金額の一部(5万円から10万円程度)をお支払い頂き、残りを毎月4万円から5万円程度の分割払いでお支払い頂くことは可能です。

なお申立準備のための依頼者との打ち合わせ、申立後の裁判所に対する対応は、事務員任せではなく基本的にすべて弁護士自身が対応いたしますのでご安心ください。

また、個人債務者再生手続においては、報酬金は頂きません。

2017.06.12

破産・免責手続について

破産宣告とは

破産とは、一般的に、債務者が債務の支払が出来ず、債務の合計が資産の合計を上回っている場合(債務超過の場合)に、裁判所に申し立てて、破産開始決定を受ける手続のことを言います。

申し立てを行うのは、基本的に債務者である個人や法人であり、弁護士がその申立代理人となって、破産申立手続を行う場合が多いでしょう。申立は、破産申立書を裁判所に提出して行います。

破産申立を行うにあたって問題となるのは、同時破産廃止の手続の申立を出来るかどうかという点です。同時破産廃止とは、債務者の財産がほとんどなく、わざわざ破産管財人を選任して、資産をお金に換えて、債権者に配当する手続きを践む必要がなく、かえってこのような破産手続を進める費用すら出ない場合に、裁判所が、破産開始決定を行うと同時に、破産手続を終結させる趣旨で下す決定のことです。

破産の申立がなされると裁判所は、申立書を審査し、その上で債務者を裁判所に呼びだして、審尋(面談)を行います。但し最近では、申立書の内容を検討するだけで、特に問題がなければ審尋を行わない場合がほとんどになったようです。

以上の結果、債務者に破産原因があると認めた場合には、破産(手続)開始決定を下します。債務者に一定以上の資産がある場合には、破産管財人が選任され、その資産をお金に換え、債権者に配当する手続を開始します。資産がなく、破産管財人が選任されない場合には、同時破産廃止決定を下します。

 

免責決定とは

破産を申し立てたのが個人である場合、破産宣告を受けただけでは、債務の支払いを免れることが出来ません。破産手続の後行われる免責手続において免責決定をもらう必要があります。免責手続は、破産手続に引き続いてなされますが、一応破産手続とは別の手続で、破産者が債権者に対する債務の支払いから免れるための手続です。

免責申立がなされると裁判所は、(再び)破産者を裁判所に呼び出して、審尋(面談)を行います。但し最近では、申立書の内容を検討するだけで、特に問題がなければ審尋を行わない場合がほとんどになったようです。場合によっては、集団免責審尋(破産者が多数同室に集められ、壇上で裁判官が免責について説明したり、破産者に質問したりする審尋方式)という審尋が行われるケースもあります。

ここで注意しなければならないのは、破産者の負債が膨らんでしまった原因が、浪費やギャンブルであったりする等破産者に一定の不誠実な事由(免責不許可事由)がある場合には、裁判所は、免責の不許可決定を下す可能性が高いということです。

但し、大阪地裁においては、免責観察型の管財事件も行っているようで、ある程度重大な免責不許可事由が認められる破産者に破産管財人を付け、すなわち破産管財事件として、破産管財人が破産者の家計管理状況等を一定期間観察指導したり、例えば破産者にいくらかの金銭の積立を指示し、破産者がそれを誠実に行えば、破産管財人の意見を聞き、裁判所が免責決定を下すという運用も行っているようです。ですから、免責不許可決定が確定してしまう破産者というのは、よほど不誠実な破産者であるということができるでしょう。

免責手続において、破産者に一応免責不許可事由がみあたらない場合には、裁判所は、1ヶ月以上の期間を定めて、債権者から破産者の免責について異議を申し立てる機会を与えます。この裁判所が定めた異議申立期間内に、債権者から何らの異議が申し立てられなければ、裁判所は、破産者に対して、免責決定を下すことになります。

免責決定を得ると、破産者は、債権者らに対して負っていた債務の全部の支払いを免れることになります。但し、租税や、故意による損害賠償義務、破産者が裁判所に提出する債権者名簿に記載しなかった債務等免責の効力が及ばず、支払いをしなければならない債務がありますので注意を要します。

 

雑感

確かに破産・免責という制度は、債権者からしてみると、借金を踏み倒されるわけですから、たまったものではないでしょう。しかし、やむを得ずに出来た過大な借金の返済から債務者を解放し、人生の再スタートを切る手助けをするという意味では、実に近代的な制度であり、近代社会では不可欠の制度といえます。ただ、破産制度により保護されるのは、あくまでも誠実な債務者であり、ギャンブラーや浪費者等不誠実な債務者は保護されない場合があることは当然でしょう。

 

弁護士費用

破産(免責)申立を行う場合の弁護士費用についてですが、同時廃止となる事案については、原則として着手金として21万円(消費税込・費用別)(債権者が15件までの場合)となっております。

但し、事案が複雑な案件、債権者が15件を超える場合や、負債総額が額面上1000万円以上ある場合には、あなたと協議の上、1万円から4万円程度着手金を加算させて頂きます。破産管財事件となる事案についての着手金につきましては、個人の方の場合で、その財産規模や営業規模、債権者数、負債総額により、あなたと協議の上、20万円から30万円(消費税・費用別)の範囲で決定させていただきます。

さらに破産管財事件の場合、裁判所に納める予納金(破産管財人に引き渡す費用)として別途20万5000円から50万円程度(以上の場合あり)の費用が必要となってきます。法人の破産申立に関する弁護士費用につきましては、法律相談をお受けした上、代表者様と協議の上決定させていただきます。

なお、分割払いについてですが、弁護士費用は一括払いが原則ですが、それが困難な方の場合、最初に着手金額の一部(5万円から10万円程度)をお支払い頂き、残りを毎月4万円から5万円程度の分割払いでお支払い頂くことは可能です。

なお申立準備のための依頼者との打ち合わせ、申立後の裁判所に対する対応は、事務員任せではなく基本的にすべて弁護士自身が対応いたしますのでご安心ください。

破産(免責)申立についての報酬金は頂いておりません。

2017.06.12

任意整理(債務整理)・過払金返還について

任意整理(債務整理)とは

任意整理(債務整理)とは、債務者(代理人弁護士)が、裁判所の手続を利用するのではなく、債権者らと個別に交渉し、債務の弁済についての和解を行っていくものです。

これを行うメリットは、たとえば勤務先の会社からの借入については何の問題もなく返済が出来ているが、サラ金からの借入については、利息が高く、返済するのに無理が出てきたので、サラ金何件か分の債務についてだけ、月々の返済金額を下げてもらいたい、といった場合や、住宅ローンを抱えていて、これについては、これ以上の長期間の分割弁済の交渉の余地もないが、サラ金・信販関係の借入についてだけ、やはり月々の返済額が楽になるように交渉したいという場合などに、支払いが困難になってきた借入についてだけとりあげて、長期分割弁済の方向で話し合いをしたり出来る点です。

任意整理のデメリットとしては、あくまでも債権者と債務者(代理人弁護士)との任意の交渉であるため、条件が折り合わなければ、いつまでたっても話し合いがつかないというケースも出てきます。

また、債権者が債務者との取引履歴(貸付と返済の履歴)をすべて開示してくれなければ、話し合いが進まなかったりします。

さらに、任意整理は、裁判所の手続ではなく強制力がないので、利息を利息制限法に沿った利率で、取引の初めの分から計算し直してもらうことは出来ても、元本のカットまでは、原則的に応じてもらえません(但し、一括でまとまった金額を支払うので残りを免除してということであれば、交渉の余地はありますが・・・)。

以上のメリットやデメリットを踏まえた上で、任意整理を行う場合、債務者本人が債権者と交渉するにはやはり無理があります。弁護士に交渉を依頼しなければ、債権者もなかなか話し合いに応じてくれないことが多いので、弁護士に交渉を依頼したほうがよいでしょう。以下、債権者がサラ金業者や信販会社である場合を念頭において、交渉の流れを解説します。

弁護士が、債務者から任意整理の依頼を受けた場合、債権者らに受任通知や債権届出書を送付し、債権者らの債権額を調査します。もちろん、債権者には、債務者との取引開始時点からのすべての取引履歴(貸付と返済の履歴)を開示してもらい、利息制限法所定の利率で計算し直した場合の残債務額も提出してもらうことになります(もっとも最近では、取引履歴は開示しても、利息制限法所定の利率での再計算は、勝手に弁護士がやれという姿勢の債権者らが多くなりました。)。

一般的に当該債権者との取引が長ければ長いほど、利息制限法所定の利率で計算し直してみると、残債務額は実ははるかに安かったという結果になることが多いです。

このようにして債権者らの正確な債権額を調査したうえで、さらに弁護士は、その残債務額を金額固定してもらった上で、すなわち将来の利息が発生しないようにしてもらった上で、その固定された金額を、3年間~5年間の分割弁済にしてくれるように債権者と交渉を行います。分割弁済の期間が5年間を超えてくると、債権者も交渉に応じてくれないことが多いようです。

返済金額を固定した上で、これを3年間~5年間の分割弁済にしてもらえれば、たいていの債務者の返済の負担は、格段に楽になります。少なくとも、利息ばかりを支払って、元本がいっこうに減らないといったことはなくなるでしょう。

このように固定された金額を、長期分割にしてくれるという話が債権者との間でまとまれば、あとは和解契約書を債権者との間で締結します。任意整理の対象としたすべての債権者との間で和解契約書が締結できれば、任意整理は終了します。

なお、和解が成立した以上、和解契約書に定められたとおりに、債務者ご自身が責任を持って分割金を支払っていかなければならないことはもちろんです。

※以上は、個人の方の任意整理(債務整理)について説明したものです。法人の債務整理にはあてはまりません。

 

過払金(過払い金)の返還請求について

債務者の取引開始時点からのすべての取引履歴(貸付と返済の履歴)を開示してもらい、利息制限法所定の利率で計算し直した場合の残債務額がマイナスになる場合、債務者は、利息制限法上の利息計算によれば、お金を返済しすぎていることになります。

すなわち、今まで利息と思って支払っていた分が元本に充当されるため、元本がどんどん減っていって完済し、その後さらに支払ったために払いすぎになるのです。

このような返済しすぎのお金を過払い金(過払金)と言います。一般的に5年以上同じサラ金で借りたり返したりを繰り返していると、すでに負債は完済し、過払いになっているケースが多いといえます。

が、最近大金を借りたなどの事情があったり、返済をあまりしていなかった等の事情によっては過払いになっておらず、負債が残っているケースもあります。

仮に、利息制限法による再計算の結果、過払い金が発生している場合、その分は債権者が債務者のお金を不当に利得していることになりますから、当然そのお金の返還及びこれに対する年5パーセントの利息金を逆に請求することになります。

ただし、話し合いにより速やかに返還してもらおうとする場合、債権者から過払い金元本の8割とか9割の返還ならすぐにでも応じるが、それ以上返還せよと言うなら訴訟をしてくれと言われる場合が多いです。

このような場合は依頼者の意見を聞いた上で、過払い金元本の8,9割程度の返還で和解に応じるか、元本10割の返還及び利息金の支払いを求めて訴訟を提起するかを選択することになります。訴訟をするということになれば、よけいに費用や時間がかかりますから、元本の8,9割程度の返還で和解するケースの方が多いように思います。

 

弁護士費用

個人の方が任意整理を行う場合の弁護士費用についてですが、着手金・費用として、借入先1件あたり2万2000円(諸費用・消費税込み)となっています。報酬金については、次の額のいずれか多い方の金額によります。

(1)業者の請求額を減額させた減額額の10%+過払い金が存する場合は、業者から過払返還を受けた金額の15%の金額(消費税別)

(2)業者の請求額から利息・遅延損害金を減額させた上で、2年以上の長期分割弁済とした場合、分割総額の5%の金額(消費税別)

なお債権者らとの交渉は、事務員任せではなく基本的にすべて弁護士自身が対応いたしますのでご安心ください。

連絡先

弁護士法人 関西はやぶさ法律事務所
〒520-0051 大津市梅林1丁目15番30号 林ビル本店2階
(JR東海道本線「大津」駅より県庁方面に徒歩5分)

tel:077-527-6835
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