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2017.06.12

個人債務者再生(個人再生)手続について

個人債務者再生(個人再生)手続とは

個人債務者再生手続とは、住宅ローンその他の債務を抱えて経済的に困窮状態にある債務者について、将来の収入等を弁済原資として、裁判所の認可を受けた再生計画に基づき債務の一部を弁済することにより、残債務を免除してもらい、経済生活の再生を図るための手続です。

従来の制度状態では、破産手続を選択せざるを得なかった債務者も、この手続を利用することによって破産を避けつつ、債務弁済の負担を軽減し、経済生活を再スタートできるという意味で、画期的な制度ということができます。個人債務者再生手続は、裁判所に申し立ててこれを行います。

個人債務者再生手続には、①小規模個人再生手続と②給与所得者等再生手続があり②は、収入金額の変動の少ない安定収入のあるサラリーマン等が利用できます。自営業者は、①の手続を利用することになります。①と②の手続の大きな違いは、再生計画の認可にあたって、債権者の決議が必要かどうかという点です。②の手続においては、債権者の決議を行わないので、債権者の意向にかかわらず、再生計画が認可されることが可能となるのです。以下、もっと詳しく述べてみましょう。

 

小規模個人再生手続について

小規模個人再生手続は、①債務者が将来継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり(アルバイト、パートでも可)、かつ②再生債権の総額が(住宅資金貸付債権額等を除く)が5000万円を超えない場合に申し立てることが出来ます。

債務者は、いくらの金額を、どのように分割して支払うかという再生計画案を裁判所に提出しなければなりません。再生計画案は、最低弁済基準額、すなわち再生債権の総額の5分の1または100万円のいずれか多い額以上の額を返済するものでなければなりません。

再生債権の総額の5分の1が300万円を超えるときは、弁済額は300万円でかまいません(但し、再生債権総額が3000万円を超え5000万円以下の場合は、その10分の1以上の額を弁済しなければなりませんので、弁済総額は300万円を超えることになります。)。

また、破産した場合より債権者に不利益になってはいけないので、たとえば120万円の価値がある財産を持っていれば、最低弁済額は120万円となります。

以上の基準により、たとえば最低弁済額が100万円であれば、これを原則3年間(例外的に5年間まで延長される。)で弁済する再生計画を立てなければなりません。月々の弁済額にすれば、約2万7800円が弁済できる余裕がなければならないということです。

なお、大阪地裁では、平成16年1月から、再生計画で定める弁済がきちんと出来るかどうか見極めるため、個人債務者再生の手続中、提出予定の再生計画案に定める予定の弁済月額を、申立人に実際に毎月積み立ててもらい、再生計画案提出の際、積み立てが出来ていることを示す預金通帳の写しを添付させるという運用を始めました。

このようにして、再生計画案を立案提出し、これを債権者にも提示して、債権者の決議を求めます。この決議において、不同意の回答をした債権者の数が総債権者数の半数に満たず、かつ反対をした債権者の債権額合計が、債権総額の2分の1を超えなければ、再生計画は裁判所により認可される運びとなります。

たとえば400万円の負債額の債務者が、100万円を3年間で弁済するので残額は免除してもらいたいという再生計画を提出し、これが認可されれば、残りの300万円の負債は免除されることとなります。

ただし、100万円については、再生計画通り支払っていく必要があります。

 

給与所得者等再生手続について

給与所得者等再生手続は、①上記の小規模個人再生の要件を満たす債務者で、②給与等定期的収入を得る見込みがあり、かつ③その額の変動の幅が小さいと見込まれる者が申し立てることが出来る手続です。

債務者が提出する再生計画における最低弁済額は、上記の小規模個人再生手続における要件以外に、2年分の可処分所得を上回る金額でなければならない、という要件が加重されます。

可処分所得は、債務者の収入額から政令で決められた費用等を控除して計算します(したがって、債務者の実際の可処分所得とは必ずしも一致しません。)が、たとえば1年分の可処分所得が70万円であれば、上記小規模個人再生手続によれば、最低弁済額が100万円であっても、給与所得者等再生手続を利用する限り、最低弁済額は可処分所得の2年分すなわち140万円となります。

これを原則3年間(例外的に5年まで延長される。)で弁済することについては小規模個人再生手続と同様です。

なお、大阪地裁において、再生計画で定める弁済がきちんと出来るかどうか見極めるため、個人債務者再生の手続中、提出予定の再生計画案に定める予定の弁済月額を、申立人に実際に毎月積み立ててもらい、再生計画案提出の際、積み立てが出来ていることを示す預金通帳の写しを添付させるという運用を始めたことは、小規模個人再生手続と同様です。

給与所得者等再生手続においては、債権者に対する弁済額が多くなってしまう可能性があるかわり、再生計画案については、債権者の決議を経る必要がありません。すなわち債権者が仮に再生計画に反対しても、裁判所が認める以上、再生計画は認可される運びとなります。

たとえば負債400万円のサラリーマンが、140万円を3年間で弁済するので残りの負債は免除してもらいたいという再生計画を提出し、これが裁判所で認可されれば、債権者の意向にかかわらず、残債務は免除されます。

ただし、140万円については、再生計画通り支払っていく必要があります。

住宅資金貸付債権に関する特則について

住宅資金貸付債権に関する特則とは、住宅ローンの抵当権が住宅等に設定されていて、債務者がローンの返済を遅滞し、期限の利益を喪失している(すなわち住宅ローン債務の一括返済を迫られている)ような場合、再生計画に基づいた弁済をすることで債務者が喪失した期限の利益を回復し、また例外的に所定の弁済期の繰り延べが認められる特則です。

すなわち、再生計画認可確定時までに弁済期が到来する住宅資金貸付債権の元本等を、債務者が再生計画で定める弁済期間内に弁済すれば、喪失した期限の利益を回復し、かつ、認可確定後に弁済期が到来する債権は原則として貸付契約に定められた弁済期に弁済することが出来る特則です。

すなわち、住宅ローンの延滞が起こっているような場合に、再生計画認可確定までに滞納した分を原則3年間(例外的に5年まで延長される。)で解消し、認可確定後に弁済期がやってくる住宅ローンについては、ローン契約通り支払って行きますということです。

なお、この特則においては、住宅ローンの利息や元本のカットはありませんから、住宅ローンについては全額支払いますということが原則になります。

もっとも、この特則は、債務者に住宅ローンの延滞がなければ、より問題なく利用しやすい特則となります。すなわち、住宅ローンについては、今までも、そして将来も、従来の契約どおりに支払いを継続するという内容の特別条項を付け、住宅ローン以外の一般の債務については、一定額の債務の免除をしてもらうという方法をとることももちろん可能です。

以上のような特則を利用する再生計画のことを住宅資金特別条項付再生計画と呼びますが、これは、小規模個人再生手続や給与所得者等再生手続に付加して申し立てるものです。

 

雑感

個人債務者再生手続は、手続の内容が複雑で、再生計画案の立案なども一般の方には困難である場合が多いと思われますので、この手続の申立は、弁護士に依頼されることをお勧めします。

また、個人債務者再生手続においては、負債がふくらんだ原因については、それが浪費であってもギャンブルであっても、再生計画の履行が可能である限り、原則として問題とはされません。破産申立を考えていた債務者が、免責不許可となる可能性が高いので、個人債務者再生手続申立に方針変更をするということもあります。

いずれにせよ、個人債務者再生手続は、破産とは異なり、負債を全部踏み倒すのではなく、そのうちの一部でも返済しようという手続ですから、破産申立を考えている方は、その前に、個人債務者再生手続が利用できないかどうかを検討してみる必要があります。

 

弁護士費用

個人債務者再生手続を当事務所に依頼される場合の弁護士費用についてですが、原則として着手金として21万円(消費税込・費用別)(債権者が15件までの場合)となっています。

但し、事案が複雑な案件、債権者が15件を超える場合や、住宅ローンを除く負債総額が1000万円以上ある場合には、あなたと協議の上、1万円から4万円程度着手金を加算させて頂きます。住宅ローン特別条項付き個人債務者再生手続の着手金は、原則として21万円(消費税込・費用別)(債権者が15件までの場合)となっています。

但し、事案が複雑な案件、債権者が15件を超える場合や、住宅ローンを除く負債総額が1000万円以上ある場合には、あなたと協議の上、1万円から4万円程度着手金を加算させて頂きます。

なお、分割払いについてですが、一括払いが原則ですが、それが困難な方の場合、最初に着手金額の一部(5万円から10万円程度)をお支払い頂き、残りを毎月4万円から5万円程度の分割払いでお支払い頂くことは可能です。

なお申立準備のための依頼者との打ち合わせ、申立後の裁判所に対する対応は、事務員任せではなく基本的にすべて弁護士自身が対応いたしますのでご安心ください。

また、個人債務者再生手続においては、報酬金は頂きません。

連絡先

弁護士法人 関西はやぶさ法律事務所
〒520-0051 大津市梅林1丁目15番30号 林ビル本店2階
(JR東海道本線「大津」駅より県庁方面に徒歩5分)

tel:077-527-6835
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