トピックス
2017.06.12

任意整理(債務整理)・過払金返還について

任意整理(債務整理)とは

任意整理(債務整理)とは、債務者(代理人弁護士)が、裁判所の手続を利用するのではなく、債権者らと個別に交渉し、債務の弁済についての和解を行っていくものです。

これを行うメリットは、たとえば勤務先の会社からの借入については何の問題もなく返済が出来ているが、サラ金からの借入については、利息が高く、返済するのに無理が出てきたので、サラ金何件か分の債務についてだけ、月々の返済金額を下げてもらいたい、といった場合や、住宅ローンを抱えていて、これについては、これ以上の長期間の分割弁済の交渉の余地もないが、サラ金・信販関係の借入についてだけ、やはり月々の返済額が楽になるように交渉したいという場合などに、支払いが困難になってきた借入についてだけとりあげて、長期分割弁済の方向で話し合いをしたり出来る点です。

任意整理のデメリットとしては、あくまでも債権者と債務者(代理人弁護士)との任意の交渉であるため、条件が折り合わなければ、いつまでたっても話し合いがつかないというケースも出てきます。

また、債権者が債務者との取引履歴(貸付と返済の履歴)をすべて開示してくれなければ、話し合いが進まなかったりします。

さらに、任意整理は、裁判所の手続ではなく強制力がないので、利息を利息制限法に沿った利率で、取引の初めの分から計算し直してもらうことは出来ても、元本のカットまでは、原則的に応じてもらえません(但し、一括でまとまった金額を支払うので残りを免除してということであれば、交渉の余地はありますが・・・)。

以上のメリットやデメリットを踏まえた上で、任意整理を行う場合、債務者本人が債権者と交渉するにはやはり無理があります。弁護士に交渉を依頼しなければ、債権者もなかなか話し合いに応じてくれないことが多いので、弁護士に交渉を依頼したほうがよいでしょう。以下、債権者がサラ金業者や信販会社である場合を念頭において、交渉の流れを解説します。

弁護士が、債務者から任意整理の依頼を受けた場合、債権者らに受任通知や債権届出書を送付し、債権者らの債権額を調査します。もちろん、債権者には、債務者との取引開始時点からのすべての取引履歴(貸付と返済の履歴)を開示してもらい、利息制限法所定の利率で計算し直した場合の残債務額も提出してもらうことになります(もっとも最近では、取引履歴は開示しても、利息制限法所定の利率での再計算は、勝手に弁護士がやれという姿勢の債権者らが多くなりました。)。

一般的に当該債権者との取引が長ければ長いほど、利息制限法所定の利率で計算し直してみると、残債務額は実ははるかに安かったという結果になることが多いです。

このようにして債権者らの正確な債権額を調査したうえで、さらに弁護士は、その残債務額を金額固定してもらった上で、すなわち将来の利息が発生しないようにしてもらった上で、その固定された金額を、3年間~5年間の分割弁済にしてくれるように債権者と交渉を行います。分割弁済の期間が5年間を超えてくると、債権者も交渉に応じてくれないことが多いようです。

返済金額を固定した上で、これを3年間~5年間の分割弁済にしてもらえれば、たいていの債務者の返済の負担は、格段に楽になります。少なくとも、利息ばかりを支払って、元本がいっこうに減らないといったことはなくなるでしょう。

このように固定された金額を、長期分割にしてくれるという話が債権者との間でまとまれば、あとは和解契約書を債権者との間で締結します。任意整理の対象としたすべての債権者との間で和解契約書が締結できれば、任意整理は終了します。

なお、和解が成立した以上、和解契約書に定められたとおりに、債務者ご自身が責任を持って分割金を支払っていかなければならないことはもちろんです。

※以上は、個人の方の任意整理(債務整理)について説明したものです。法人の債務整理にはあてはまりません。

 

過払金(過払い金)の返還請求について

債務者の取引開始時点からのすべての取引履歴(貸付と返済の履歴)を開示してもらい、利息制限法所定の利率で計算し直した場合の残債務額がマイナスになる場合、債務者は、利息制限法上の利息計算によれば、お金を返済しすぎていることになります。

すなわち、今まで利息と思って支払っていた分が元本に充当されるため、元本がどんどん減っていって完済し、その後さらに支払ったために払いすぎになるのです。

このような返済しすぎのお金を過払い金(過払金)と言います。一般的に5年以上同じサラ金で借りたり返したりを繰り返していると、すでに負債は完済し、過払いになっているケースが多いといえます。

が、最近大金を借りたなどの事情があったり、返済をあまりしていなかった等の事情によっては過払いになっておらず、負債が残っているケースもあります。

仮に、利息制限法による再計算の結果、過払い金が発生している場合、その分は債権者が債務者のお金を不当に利得していることになりますから、当然そのお金の返還及びこれに対する年5パーセントの利息金を逆に請求することになります。

ただし、話し合いにより速やかに返還してもらおうとする場合、債権者から過払い金元本の8割とか9割の返還ならすぐにでも応じるが、それ以上返還せよと言うなら訴訟をしてくれと言われる場合が多いです。

このような場合は依頼者の意見を聞いた上で、過払い金元本の8,9割程度の返還で和解に応じるか、元本10割の返還及び利息金の支払いを求めて訴訟を提起するかを選択することになります。訴訟をするということになれば、よけいに費用や時間がかかりますから、元本の8,9割程度の返還で和解するケースの方が多いように思います。

 

弁護士費用

個人の方が任意整理を行う場合の弁護士費用についてですが、着手金・費用として、借入先1件あたり2万2000円(諸費用・消費税込み)となっています。報酬金については、次の額のいずれか多い方の金額によります。

(1)業者の請求額を減額させた減額額の10%+過払い金が存する場合は、業者から過払返還を受けた金額の15%の金額(消費税別)

(2)業者の請求額から利息・遅延損害金を減額させた上で、2年以上の長期分割弁済とした場合、分割総額の5%の金額(消費税別)

なお債権者らとの交渉は、事務員任せではなく基本的にすべて弁護士自身が対応いたしますのでご安心ください。

2017.05.09

尋問の実際の風景

よく日本のテレビドラマや邦画で、法廷で弁護士などが尋問を行っているシーンがあったりします(外国の裁判のことはよく分かりませんので、洋画や外国ドラマは除きます)。

しかし、ドラマや映画で役者がやっている尋問風のもの、アレは尋問ではありません。もうほとんど謎解き独り言、あるいは演説と言っていい類のもので、尋問の体をなしていないのがほとんどです。実際の尋問は以下のようなものです。

法廷での尋問は(民事事件を前提にすると)、原告や被告や第三者つまり証人に証言して貰い、事実関係を聞き出す手続です。そうです、聞き出すのはあくまでも「事実」です。「意見」でもないし「評価」でもありません。「過去に起こった事実」を聞き出す手続です。

そして、しゃべるのは、ほとんど、原告本人や、被告本人や証人でなければならず、原告代理人か、被告代理人である弁護士、そして裁判官も、尋問においては常に質問し続ける立場なのです。質問せずにべらべら弁護士がしゃべったりすると、必ず裁判官から「あなた何しゃべってるの?質問してくださいよ!」と注意されてしまうでしょう。

例えば私が、被告代理人で、被告側で証言するのは被告本人だけ、原告側で証言するのは、原告本人と証人1人としましょう。
証言の順番は、①証人②原告本人③被告本人の順番になるのがセオリーでしょう。

この場合ですと、①証人に対して、原告代理人が主尋問、私が反対尋問、裁判官尋問②原告本人に対して、原告代理人が主尋問、私が反対尋問、裁判官尋問③被告本人に対して、私が主尋問、原告代理人が反対尋問、裁判官尋問という順番で尋問が行われていきます。

この場合、原告代理人は、自分側の証人や原告本人に対して、主尋問を行い、原告の主張に沿う証言をさせて、その立証を固めます。一方被告代理人の私は、証人や原告本人に対して反対尋問を行い、その証言の矛盾点を問いただして、原告の立証を崩さなければなりません。

被告本人に対しては、私が主尋問を行い、被告の主張に沿う証言をさせて、その立証を固めます。これに対して、原告代理人は、被告本人に反対尋問を行い、その証言の矛盾点を問いただして、被告の立証を崩しにかかります。

裁判官は、公平な観点から、聞かなければならないと思う点を、証人や原告や被告に対し、補充的に尋問します。

証人や原告や被告がしゃべる内容は、基本的に予め陳述書という書証を作成し、裁判所に証拠として提出してから尋問が行われます。つまり、尋問当日には、原告や被告や証人が何をしゃべるのか、大体誰もが分かっている状態で尋問に臨むのです。

各人の陳述書が予め出ているのですから、審理の短縮化のために、尋問時間は短くなっている傾向があります。

事案にもよりますが、例えば、裁判官から、証人や原告や被告の主尋問は各20分で、反対尋問も各20分で収めてくださいというような訴訟指揮がされる感じです。それでも、1人につき主尋問・反対尋問・裁判官の尋問で40分以上尋問を行うことになるので、3人の尋問を行えば、尋問時間はトータルで120分を優に超えます。

ですので、弁護士はのんびりとおしゃべりしている暇はありません。尋問事項のポイントを絞って、基本的に一問一答方式で尋問を進めなければ、とうてい予定の尋問時間で尋問を終えることなど出来ないのです。

証人や原告や被告には基本は「はい」か「いいえ」で答えて貰うのです。それでも足りない場合は、追加追加で一問一問を継ぎ足し、追加追加で一答一答を繰り返して貰うのです。

被告代理人の私としては、第一目標としては、被告本人の主尋問・反対尋問を無難に乗りきらなければなりません。つまり予め提出している陳述書とまるで違うような証言を被告本人がしないように、予め原告代理人の反対尋問も想定した上で、被告本人と打ち合わせしておかなければなりません。

また私としては、証人や原告本人に有効な反対尋問を行わなければなりません。有効な反対尋問とは、証人や原告本人が必ず、少なくとも高確率で、それまでの陳述と矛盾した答えになるか、答えに窮するような反対尋問でなければなりません。証人や原告本人がすらすらと説明できてしまうような反対尋問は、相手の立証の手伝いをしているだけですから、そんな反対尋問はしない方がましです。

ですので反対尋問は、よほど準備して臨まなければならないものであり、予めの準備段階で有効な反対尋問が思い浮かばないような場合は、尋問当日の証人や原告本人の証言の巧い下手を見極めて、しゃべるのが上手な証人や原告本人の場合は、早々に反対尋問を切り上げた方が良い場合もあります。一方、予め提出している陳述書とまるで違う証言をぽろぽろとしてしまう証人や原告本人の場合、臨機応変にこれらの証言の矛盾点に切り込んでいくような反対尋問をどんどんすべき場合もあります。

長くなりましたが、以上のような基本的に一問一答スタイルの尋問が、日本の法廷における尋問の実際の風景です。一般の方が見ていて面白いものとは言い難いのが現状でしょうね。ドラマじゃないんです。映画でもないんです。実際の尋問は。

2017.03.06

内容証明郵便について

内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、どのような内容の文書を郵送したか郵便局において証明してもらえる郵便物のことです。この内容証明郵便を、配達証明(内容証明郵便が受取人にいつ到達したかを証明してくれるハガキ、後日郵便局から差出人に送付してくれる)をつけてもらって郵送した場合、相手方におこなった意思表示の内容、時期を証明できるので、後日の証拠とすることができます。

内容証明郵便を利用すべき場合としては、次のような場合が考えられます。例えば借地契約の契約期間満了の際、借地人が契約の更新請求をしたのに地主が遅滞なく異議を述べないときは借地契約は更新したものとみなされますし、建物賃貸借契約において当事者が契約期間満了前の一定期間内に相手方に対して契約を更新しない旨の通知をしないと賃貸借契約は更新したものとみなされます。また、債権の譲渡があった場合に、これを第三者に対抗するためには、譲渡人が、確定日付(ある文書がその日に作成されたことが法律上証明される日付)付きで、債務者へ債権譲渡通知を行うか債務者が承諾を行わなければなりません。また、ある契約を相手方の債務不履行を理由に解除する場合にも契約解除の意思表示を明確に行う必要があります。

さらには、貸金債権などの債権等は一定期間権利行使をしないでいると消滅時効が完成してしまいますし、土地や建物の占有者は、一定期間これらの不動産を占有継続すると取得時効により所有権を取得してしまうということもあります。そのようなときには支払請求(明渡請求)を行うことで時効の中断を行う必要がありますが、かかる場合には後日の証拠とするために内容証明郵便を利用すべきなのです。

 

内容証明郵便の形式

内容証明郵便は、決まった文書の形式で出す必要があります。すなわち縦書きの場合、①1行20字(句読点も1字)以内、1枚26行以内で作成しなければなりません。横書きの場合には、②1行13字以内、1枚40行以内、あるいは③1行26字以内、1枚20行以内で作成することとになっています。文書が2枚以上の用紙にわたる場合にはその綴目に契印をします。なお、用紙については特に制限はなく、コピー用紙やワープロ用紙でも構いません。また内容証明郵便専用のマス目が印刷された用紙も市販されていますので慣れない方はこちらを利用した方がよいでしょう。筆記用具は、何でも構いませんが、改ざんが容易な鉛筆は不適切です。あるいはワープロ文書をプリントアウトしたものでも構いません。

上記のような形式で、本文、日付、差出人と受取人の住所・氏名(差出人の氏名の下には通常捺印する)を記載すれば、内容証明郵便は出来上がります。なお、文章の内容については、内容証明郵便の書き方に関する書籍が書店に出回っていますのでこちらを参考にするか、あるいは確実を期すためには弁護士に内容証明郵便の作成を依頼するのがよいでしょう。

 

提出の仕方

内容証明郵便を出すときは、宛名書きした封筒、郵便物の中身である文書のほか、その同一内容の文書2通、すなわち相手方が1人であれば、同じ文書を3通用意して郵便局に持参しなければなりません。郵便局では3通の文書のうち1通を保管し、残りの1通を差出人に返してくれます。また送付する文書は郵便局員の面前で差出人に封筒におさめて封緘させた上で郵便局が受け取りこれを郵送します。その際配達証明付きでと依頼すれば、後日受取人に配達したことを証明する配達証明書がハガキで差出人のもとへ送付されてきます。

料金は、一般の郵便料金の他、書留料金、内容証明料、配達証明料が必要になります。金額は郵送する文書の枚数・重量によって変わりますので、郵便局で確認してください。

 

補足

このように内容証明郵便は、一般の方でも便利に利用できる郵便ではありますが、文書の内容によっては、充分な法律効果を生じる意思表示となっていなかったり、また自己に不利な内容の事実も書いてしまっていたりする場合もあります。何か不安があれば、内容証明郵便の作成を弁護士に依頼するようにしてください。

また、最近では、インターネット上で内容証明の送付を依頼できるe内容証明もありますので、郵便局のホームページも参照してみて下さい。

2015.06.13

離婚手続きの流れについて

離婚手続きの流れ

離婚手続きの詳細については、以前のトピックスで詳しく述べたものがありますので、そちらをご覧下さい。
今回は離婚手続きの流れを、簡単に説明したいと思います。

 

離婚調停

当事者、つまり夫婦だけでは、離婚の条件等について話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の手続きを利用せざるを得なくなるのですが、
離婚は、いきなり訴訟ということが出来ません。調停前置主義といって、離婚等の調停手続きを訴訟より前に行うことになっています。

離婚調停は、これを申し立てる側の配偶者が、相手配偶者の住所を管轄する家庭裁判所に申し立ててて開始します。

離婚調停においては、調停委員という方々を介して、相手配偶者と話し合う手続きで、相手配偶者と直接話をするのではなく、あくまでも、夫婦双方の希望を調停委員に交互に伝え合う形で話し合いを行う手続きです。

離婚調停の期日において、話し合いをしなければならないのは、主に次のような点です。

①離婚の意思ーそもそも夫婦双方に離婚の意思はあるのか。

夫婦のどちらかの配偶者にそもそも離婚するつもりがないのであれば、調停は不成立になります。

 

②子どもの親権者、養育費

未成年の子どもがいる場合に、親権者をどちらにするか。
収入が少ない方の配偶者例えば妻が子どもの親権者となる場合、相手配偶者つまり夫は、子どもに支払う養育費の額等詳細を話し合って決定しなければなりません。

 

③財産分与

夫婦が、二人で築き上げた積極財産はいくらか。不動産や自動車や預金などです。これらを計算して、夫婦で2分の1に分けるのが通常です。

 

④年金分割

夫婦の一方が相手配偶者の扶養家族となっていた場合に、相手配偶者の厚生年金部分を2分の1に分割して分けるのが通常です。

 

⑤慰謝料

同居生活中に、夫婦の一方が暴力や不貞行為つまり浮気などの違法行為をした場合に、その違法行為を行った配偶者が相手配偶者に慰謝料を支払うべきだということになります。その慰謝料額を話し合って決定します。

以上のように①~⑤のような論点について、夫婦で、話し合いがつけば離婚調停は成立し、これを調停調書にしてもらうことによって、判決書と同様の効力が発生します。

しかし、いくら話し合っても、夫婦のどちらかが、①~⑤のいずれか、例えば、親権の帰属について話し合いがつかない場合などは、離婚調停は不成立になり、離婚訴訟によらなければ、離婚が成立しなくなることがあります。

その他調停手続きにおいては、あくまでも離婚調停とは別の事件として、

 

⑥婚姻費用分担の調停

配偶者の一方が、それまでは婚姻費用つまり生活費を支払ってくれていたのに、夫婦別居後に生活費を支払わなくなった等の事情で、生活費を支払ってもらいたい場合、
例えば妻から夫に対して、しかるべく婚姻費用を離婚成立又は別居の解消まで支払ってもらいたいという趣旨の調停が申し立てられたりします。

⑦子どもとの面会交流調停

配偶者の一方が子どもを連れて、夫婦宅を出て行き、その後相手方配偶者が、子どもに会えなくなることがあります。
例えば妻が子どもを連れて夫婦宅から出て行って別居後、夫が子どもに会わせてもらえないような場合です。
このような場合、例えば夫から妻に対して、子どもとの面会交流を認めるように、調停が申し立てられたりします。

⑥⑦いずれも、離婚調停とは別個の手続きですから、離婚調停期日と同じ日に話し合いが行われていても、話し合いがつかなければ、それぞれ審判手続きに移行し、裁判官が審判を下すことになります。

 

離婚訴訟

前述の離婚調停が不成立となった場合、当事者つまり夫婦のいずれかが、自己の住所を管轄する家庭裁判所又は相手配偶者の住所を管轄する家庭裁判所に離婚訴訟を提起することになります。

離婚の判決をもらうためには、裁判上の離婚事由がないと離婚の判決をもらうことは出来ません。
離婚事由というのは、民法第770条に法定されていますが、「配偶者に不貞行為があったとき」や「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」場合を離婚事由として離婚訴訟に至る場合が多いのではないでしょうか?

離婚訴訟にまで発展している場合、夫婦の一方があくまでも婚姻関係の継続を希望している場合は少なく、
むしろ離婚調停で問題になったような、離婚の条件の②~⑤のいずれかで、当事者間に争いがある場合が多いのではないでしょうか?

そのような場合、裁判所は、①~⑤の争点で当事者が判断を求めているものついて審理を進めていくことになります。
審理を進めるにあたっては、裁判所の訴訟指揮により、当事者より、準備書面や書証を出し合って、訴訟が進行していきます。

離婚訴訟に関しては、準備書面や書証のやり取りが必要になってきますので、当事者ご本人で行うのは、大変困難ですので、弁護士に依頼した方がよいでしょう。

争点が明確になってくれば、当事者夫婦の尋問が行われたりします。
子どもの親権が問題になっている場合には、必要に応じて家事調査官の、調査が行われたりすることもあります。

争点について、当事者尋問等の審理が尽くされた場合は、裁判官は、当事者に和解案を提案して、和解で離婚等を成立させようとしたりします。

それでも、前述の①~⑤の争点で審理対象となっている点について、裁判官の和解案にも当事者のいずれかが納得しない場合は、
前述の①~⑤の争点で審理対象となっている事由について裁判所は判決を下します。

 

控訴審

家庭裁判所で下された判決について不服がある場合、判決書を受け取ってから2週間以内に判決について不服がある配偶者は、管轄の高等裁判所に控訴することが出来ます。

控訴を受理した高等裁判所は、不服がある配偶者の控訴理由を審理し、もっともな点があればこれを修正した判決を下し、何らのもっともな理由がなければ、控訴を棄却します。

但し、控訴をした配偶者の言い分にもっともな点があれば、高等裁判所は、そのもっともな点を修正した和解案を当事者双方に提示して、和解成立を勧めてくる場合があります。
高等裁判所が勧めてくる和解案に応じるべきかどうかは、ケースによりますので、依頼した弁護士とよく相談して決めた方がよいでしょう。

以上が、離婚手続きの大まかな流れです。最高裁判所への上告については、ほとんど問題になりませんので、省略致します。

2013.07.12

調停と訴訟の違いについて

市役所の法律相談などに行くと、よく相談者に調停と訴訟との違いを説明することがあります。そこで、今回は、調停と訴訟との違いを、法律の手続規定はさておいて、大まかな手続の流れに沿って説明してみましょう。

 

調停手続

まず、調停とは、当事者が話し合いを行う手続であり、特に裁判官が判決のような判断を下したりすることはありません。したがって、調停を申し立てても、相手方が裁判所に出頭しなかったり、出頭しても話し合いがつかなければ、調停は不成立(不調)となります。そうなった場合、調停手続はそれで終了してしまいますから、次は訴訟を起こすなりしなければ事態は進展しないことになります。

調停といっても、離婚や遺産分割等の家事に関することは家庭裁判所に申し立て、貸金や損害賠償等の請求の場合は、簡易裁判所に申し立てなければなりません。申し立てる内容によって管轄する裁判所が違いますので注意を要します。しかし、調停の申立は、申立書の用紙が裁判所に備えおかれており、それに必要事項を書き込むことにより申し立て可能ですから、一般の方でも、特に弁護士に依頼しなくても申し立てることが出来ます。一般の方が自分で申立を行うなら、費用も印紙代や郵券代等で済みますから安くつきます。必要書類なども、裁判所の受付に行けば、たぶん親切に教えてもらうことが出来るでしょう。

例えば、離婚調停を家庭裁判所に申し立てた場合を例にとりましょう。申立を行うと、裁判所が第1回の調停期日を決めて、これを相手方(この場合は他方の配偶者)に通知してくれます。相手方が調停期日に裁判所に出頭すれば話し合いが始まります。この話し合いは、当事者同士が直接行うのではなく、調停委員を仲介役として行います。つまり、当事者双方が、交互に調停室に入り、調停委員にそれぞれ自分の言い分を伝え、調停委員がこれを他方に伝えるという方法による話し合いです。申立人の控え室と相手方の控え室は別々になっていますから、原則として、話し合いを行っていても申立人と相手方が直接顔を合わすということはありません。調停委員は、たいてい年配の男性と女性の2名がその任にあたっています。裁判官が出てくるのは調停が成立するときくらいのものです。調停委員は、時には自分の意見を述べたりして、話し合いが円滑に成立するように努力してくれるわけですが、必ずしも法的知識に基づいて意見を述べているというわけでもない場合が多いので、調停委員の意見は、人生経験豊富な方の貴重な意見としてとらえた方がよいでしょう(もちろん特に専門知識を要するような調停では、その分野に詳しい方が調停委員になっている場合もありますので要注意。)。

このように話し合いが進み、離婚調停であれば、離婚することや、子どもがいればその親権をどちらがとるか、養育費はどうするか、財産分与はどうするか、慰謝料はどうか、子どもとの面会交渉はどうするかなどにつき話し合いがまとまれば、調停成立の運びとなります。調停が成立すれば、合意の内容をまとめた調停調書が作成され、調停調書は判決と同じ効力を持ちます。したがって調停で決めた養育費や慰謝料などを支払ってもらえない場合には、調停調書に基づいて相手方の財産に対し、強制執行をかけることも可能になります。ところが一方、こどもの親権をどちらがとるか等で話し合いがどうしてもつかない場合、調停は成立せず、調停不成立となります。この場合は、前述のように調停手続はそれで終了しますので、申立人としては、その後は離婚訴訟の提起をするなりを検討しなければ、事態は進展することはないでしょう。以上が調停手続の大まかな流れです。

 

訴訟手続

では、次に訴訟とはどういうものでしょう。少額訴訟というものもありますが、ここでは通常の訴訟手続を念頭に、その大まかな流れを追ってみましょう。

訴訟を提起するには、訴状を作成して管轄裁判所に提出して提起します。訴状には、請求する権利ごとに定まった要件事実(権利が発生するのに必要な事実)等必要事項を記載しなければなりません。例えば、貸金返還請求事件であれば、金を貸し渡したことと支払期限の到来が要件事実です。そして、定められた印紙額や郵券も添えて提出します。

訴状が受け付けられると、裁判所は、第1回の口頭弁論期日を定め、訴状等を相手方すなわち被告に送達します。定められた期日に被告が何の答弁もせず出廷しなければ、原告の言い分を認めたものとして、原告勝訴の判決が下されます。つまりは、訴訟の場合、被告には応訴義務があり、応訴しない場合は敗訴判決という不利益を被るのです。被告が口頭弁論期日において答弁書を提出したり、出廷して応訴した場合、審理が始まります。

口頭弁論期日において、原告が訴状を、被告が答弁書を陳述し、その後の期日においても、双方が準備書面に各自の主張を書いて提出し、基本的に書面によって双方の主張の食い違い、すなわち争点を整理していきます。訴状や答弁書、準備書面の他に、書証(証拠書類)があれば、原被告各自がこれらを提出します(原告が提出する書証は甲号証、被告が提出する書証は原則的に乙号証として提出します)。そしてある程度争点が明確になってくると、裁判所は争点整理を行います。

例えば、貸金返還請求訴訟において、原告が被告に対して500万円を貸したので返せと主張するのに対して、被告が、借りたのは200万円で、300万円は工事代金として受領したものだ、しかも借りた200万円についても、自分のトラックを渡して終わりにしてもらった(代物弁済した)と主張した場合、争点は、大まかには、①原告が貸したのはいくらか、②被告が行ったという工事契約の詳細、③被告がトラックを代物弁済したか、の大きく3点になります。

争点が明らかになれば、原被告は、各自自らの主張を立証するために、人証申請をし、尋問が行われます。ここで、証人や原被告本人に対する尋問が行われ、裁判所は、原被告どちらの言い分が正しいのか、心証を形成します。尋問が行われる前後には、当事者双方において和解の途がないのか模索したりもします。

尋問が終わり、和解の途もないということになれば、裁判所は、口頭弁論を終結し、判決言い渡し日を決めて判決を下します。判決というものは、基本的に、原告の請求を認容する(もちろん一部認容というのもあります)か、あるいは棄却するかの2種類しかありませんので、まさしく白か黒かという判断が下されるわけです。

但し、注意しなければならないのは、裁判官も人間であり、事実を認定し、それを法的に評価し、判決を作成するにあたって、主観的判断を完全に排除することは不可能であるということです。したがって、同じ事件でも裁判官が代われば、違う判決になる場合も往々にしてあるということです。よく、地方裁判所の判決を、高等裁判所が覆すということがあるのも、裁判官によって事件の見方が違うことのあらわれといえるでしょう。このように、判決というものは、勝敗の判断が微妙な事件になればなるほど、それを下してもらうことが一種の賭けのようなものになるのです。ですから、勝敗が微妙な事件においては、オール・オア・ナッシングの判決に賭けるより、何とか当事者双方が納得できる内容の和解を成立させることのほうが無難な場合もあるのです。和解か判決かの判断は、裁判官が原被告どちらを勝たせるつもりか自分の心証を語らず、ポーカーフェイスに徹している場合などには、事案によっては本当に難しいことがあります。

それはさておき不幸にも、敗訴判決を下された被告または原告は、判決に不服であれば、判決書を受領してから2週間以内に上訴(控訴・上告)することが出来ます。原告の勝訴判決が確定すれば(確定しなくても判決に仮執行宣言というものが付されていれば)、その判決に基づいて被告の財産に対し、強制執行が可能になります。

 

まとめ

少々長くなりましたが、以上が、調停手続と訴訟手続の違いです。調停手続は、一般の方でも簡易に申し立てることができる手続ですが、あくまでも話し合いですので、相手方が出頭しなかったり、話し合いがつかなければ調停不成立です。但し、話し合いがまとまり、調停が成立すれば調停調書は、判決と同一の効力を有します。

訴訟手続は、被告に応訴義務があり、被告が、答弁書も提出せずに出廷しなければ敗訴の不利益を被ります。また訴訟においては、当事者の話し合いがつかなければ判決が下され、原被告のいずれかの勝訴・敗訴が明白にされます。訴訟手続は、一般の方の手に負えないものが多いと思われますので、やはり早めに弁護士に依頼された方がよいと思われます。

連絡先

弁護士法人 関西はやぶさ法律事務所
〒520-0051 大津市梅林1丁目15番30号 林ビル本店2階
(JR東海道本線「大津」駅より県庁方面に徒歩5分)
※当事務所には駐車場がございませんので、お近くのコインパーキング又は大津駅前の公共駐車場をご利用ください。

tel:077-527-6835
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