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2010.06.05

相続その1ー相続人・相続分・遺留分について

相続人となるのは誰か

人が死亡すれば相続が開始します。被相続人の権利義務を承継するのが相続人です。相続人は、誰なのかが問題となります。

民法の定める相続人とその順位は、以下のとおりです。

  • 第1順位 子(養子や、代襲相続人たとえば孫なども含む)
  • 第2順位 直系尊属(たとえば被相続人の親)
  • 第3順位 兄弟姉妹(代襲相続人のたとえば甥なども含む)

なお、被相続人の配偶者は、常に相続人となります。

たとえば、被相続人(夫)に妻と子がいれば、相続人は第1順位の子と、常に相続人となる妻が相続人になります。子どもがいなければ、第2順位の直系尊属と、妻が相続人になります。子も直系尊属もいなければ、第3順位の兄弟姉妹と、妻が相続人となります。なお、内縁の妻は相続人には該当しません。

※代襲相続は、相続人である子や兄弟姉妹が

  1. 相続開始以前に死亡したとき、
  2. 相続欠格(先順位の相続人を殺して刑に処せられたりした場合など)に該当して相続権を失ったとき、
  3. 廃除(被相続人を虐待したり、重大な侮辱をくわえたり、その他著しい非行があったとき

に、被相続人の請求によって相続資格を失わせる制度)によって相続権を失ったときに、その者の子がその者に代わって相続する制度です。

 

法定相続分

遺言による相続分の指定があれば別ですが、特になければ各相続人の相続分は、民法の定める法定相続分によることになります。

1.子と配偶者が相続人である場合

子と配偶者はおのおの2分の1の割合による相続分を有します。
たとえば相続人が妻と子ども3人であれば、妻の相続分は2分の1、子どもらはそれぞれ6分の1の相続分を有します。

2.配偶者と直系尊属が相続人である場合

配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1です。たとえば被相続人の両親が健在であれば、両親は、それぞれ6分の1の相続分を有することになります。

3.配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合

配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1です。たとえば、兄弟姉妹が3人いれば、それぞれ12分の1の相続分を有します。

 

特別受益者の相続分

共同相続人の中に、被相続人から遺贈(遺言による遺産の処分)を受けたり、また結婚とか養子縁組のために、もしくは生計の資本として、生前に贈与を受けた者(特別受益者)がいる場合には、被相続人が相続開始時点において有していた財産の価額にその贈与の価値を加えたものを相続財産と見なし、指定相続分または法定相続分によって算出した相続分の中からその遺贈または贈与の価額を控除し、その残額をもってその特別受益者の相続分とします。

 

寄与者の相続分

共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与をした者(特別寄与者)があるときは、被相続人が相続開始時点において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産と見なし、指定相続分または法定相続分によって算出した相続分に寄与額を加えた額をもってその特別寄与者の相続分とします。

 

遺留分

遺留分とは、被相続人の財産のうち、最低限相続人に残さなければならない財産の割合で、被相続人が他に贈与等をしても相続人が最低限確保できるものです。

遺留分を有するのは、兄弟姉妹以外の相続人で、その割合は、以下のとおりです。
①直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1
②その他の場合には、被相続人の財産の2分の1

遺留分の算定の基礎となる財産の範囲ですが、これは被相続人が相続開始の時点で有していた財産の価額にその贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除したものです。この贈与は、被相続人の死亡前1年間にしたものか、1年以上前でも贈与当事者の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたもの、このほか相続人の誰かが婚姻、養子縁組のため、生計の資本として受けた贈与も含みます。

遺留分を侵害されている相続人は、遺留分を侵害している者に対して遺留分減殺請求を行使することが出来ます。行使の方法は特に定められていませんが、明確な証拠を残すという意味で内容証明郵便によって行使するのが通常です。遺留分減殺請求の家事調停を申し立てる方法もあるでしょうし、訴訟によって遺留分減殺請求を行いこれに基づく請求を行うのでもかまいません。

なお、遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始と減殺すべき贈与等があったことを知ったときから1年以内に、相続開始の時から10年以内に行使しなければなりません。

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